口腔リハビリテーションについて

食事中にむせる高齢者

口腔機能の維持・改善、お口から食べることや会話する楽しみを回復させる、口腔リハビリテーション。

口腔リハビリテーションは口腔機能の維持・改善、病気・障害・老化などで動きが低下したお口の機能回復や、予防を目的に行う「お口のリハビリ」です。

お口から食べることや会話する楽しみを回復・維持させ、栄養低下・食に対する意欲低下・コミュニケーション困難・生活意欲の低下などの生活障害を軽減させ、要介護状態の悪化を防止する取り組みです。

オーラルフレイルとは?

フレイルとは「衰え」という意味で、オーラルフレイルとは、その名の通り “お口の衰え” です。機能障害までは至っていない、まだリハビリなどで元に戻る状態のことを表します。

  • 食事でよく食べこぼすようになった
  • 硬い物が噛めなくなった
  • 汁物を飲むときにむせるようになった
  • 食後に口の中に食べ物が残るようになった
  • 薬を飲み込みにくくなった
  • 滑舌が悪くなった

こうした状態が続くようであれば、それは歯やお口の働きの軽微な衰え、つまり“オーラルフレイル”の可能性があります。
これらの症状は、老化の始まりを示すサインとして注目されるようになってきました。
フレイルから続く要介護状態に陥ることなく、健やかで自立した暮らしを長く保つためにはこの段階で早く気付き、予防や改善に努めることが重要です。

オーラルフレイル・口腔機能低下症の検査

「オーラルフレイル」の可能性がある場合には、口腔機能低下症の検査を行います。
口腔機能低下症と診断された場合は、検査結果や口腔状況に応じて口腔リハビリテーションなどの口腔機能管理を行います。

口腔リハビリテーションによって口唇・頬・舌の筋力を鍛えてお口の機能を回復させることは、食事や会話がしやすくなるだけでなく、患者さんのお口と体の健康づくりにも役立ちます。
また、食事や会話の質が高まることは、患者さんの生活を豊かにすることにもつながります。

口腔機能低下症の診断

口腔機能低下症は疾患であり、7つの評価項目を用いて診断します。
7項目中3項目以上で低下が認められた場合に口腔機能低下症と診断します。

  • 口腔衛生状態不良(口腔不潔)
  • 口腔乾燥
  • 咬合力低下
  • 舌口唇運動機能低下
  • 低舌圧
  • 咀しゃく機能低下
  • 嚥下機能低下

オーラルフレイル・口腔機能低下症の検査ステップ

オーラルフレイル・口腔機能低下症の検査や口腔リハビリテーションは以下のようなステップで行います。

口腔機能をチェックします

問診形式のチェックリストで確認します。硬い物が食べにくい、口の中が乾くようになったなど、3つ以上該当すると口腔機能低下症が疑われます。

STEP
1

口腔機能の状態を調べる精密検査を行います

患者さんの基礎疾患や服用薬剤、認知機能、肺炎の既往などを確認します。全身状態、食事の形態や食欲不振の有無なども確認し、口腔機能の状態や栄養状態についても把握します。

【検査内容】
7つの評価項目のうち、3項目以上で低下が認められた場合に「口腔低下症」と診断します。
①口腔衛生状態不良の検査 ②口腔乾燥の検査 ③咬合力低下の検査 ④舌口唇運動機能低下の検査 ⑤低舌圧の検査 ⑥咀しゃく機能低下の検査 ⑦嚥下機能低下の検査

STEP
2

口腔機能低下症の管理計画を立てます

口腔機能精密検査に基づき、患者さんの生活環境・生活習慣に最も適した管理計画を立案します。口腔機能低下は、加齢や全身状態の低下・栄養障害によって起こりますが、むし歯や歯周疾患・歯の欠損・入れ歯の不適合などの歯科疾患でも起こります。高齢者においては、口腔機能の低下から歯科疾患の増悪につながることも多いため、歯科疾患管理にあわせて口腔機能の管理も行います。

STEP
3

口腔機能訓練の指導や動機付けの説明を行います

口腔機能が低下していると診断された項目に対し、症状や患者さんに応じた口腔機能訓練の指導を行います。口腔機能訓練には、咀しゃく筋訓練・舌圧の向上の訓練・舌や可動域訓練・単音節の発音訓練などがあります。 口腔衛生状態不良の場合は患者さんやご家族、介助する方に対して清掃方法の指導を行い、口腔内の衛生状態を保つことが全身の健康にとっても重要であることを継続的にご説明します。 口腔機能低下は栄養摂取バランスを阻害し、栄養摂取バランスの低下はフレイルや全身機能の低下につながることを理解していただくことが、口腔機能の悪化防止や維持・改善に取り組むための「患者さんの動機付け」となります。

STEP
4

生活指導・栄養指導を行います

患者さんの全身状態や生活環境・生活習慣を踏まえて、患者さんやご家族が日常生活の中でも実施可能な生活や栄養の指導を行います。 適切な口腔清掃指導、日々の食事において摂取することが望ましい食品や食形態の提案、食具や姿勢などの食事環境、食事方法についてアドバイスします。 また、口腔機能低下による全身状態の悪化を予防するために、日常生活における口腔リハビリテーション(口腔体操等)による口腔機能向上訓練についてもレクチャーします。

STEP
5

口腔リハビリテーション

口腔リハビリテーションの方法には、以下のものがあります。

  • 口と舌の体操
  • 唾液腺マッサージ
  • 発音訓練

症状や患者さんに応じた口腔機能訓練の指導を患者さんに行います。

摂食機能検査・摂食嚥下リハビリテーションについて

当院では、摂食機能検査(VE)も行なっています。
食物を口に入れて、咀しゃくして飲み込み、食道へ送り込む一連の動作のいずれかに障害がある状態を嚥下(えんげ)障害といいます。
嚥下内視鏡検査は、鼻腔ファイバースコープという内視鏡をのど(咽頭)に挿入し、食物の飲み込み(嚥下の様子)を観察する検査です。食物を飲み込んだ後の咽頭内への食物の残留の有無や気管への流入(誤嚥:ごえん)などを評価することができます。

嚥下検査

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口腔内のお悩みやお口のことで気になることがあれば
さいたまメディカルタウンビル2Fの歯医者
「さいたま口腔リハビリテーション歯科クリニック」にご相談ください。
当院は摂食嚥下とお口の健康に特化した「生涯おいしく食べる」をサポートする歯科医院です。